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28.07.2011 

"そのままに愛おしい”人、明子さん。

 

「今、家族で片男波にいます。」 と、突然のお電話。

ものすごく上品で(しかも)小鳥みたいに可愛い細い声。

「え、、和歌山の片男波ですか?」(私は他の片男波は知らないのに)


陶芸家の安藤雅信さんご一家が、片男波のあと、小野町デパートに来てくださる

ということ。

其の一:器が三度の飯より好きな井上さんに知らせる。  

其の二:店内の”落ち度”を探す。

其の三:落ちつこう、と試みる。



10年ほど前になるかな。。

私は その当時 日常のほんの些細な当たり前のことを

豊かにしていきたいと思うようになった。

手当たり次第に食器を流れていく毎日の中で使っていたけど

なんだろう、、「惜しい」気持ちを感じていた。


そんなとき、出会ったのが 安藤雅信さんの器だった。

朝目覚めて、日中活動し、日が沈む頃心休まる場所に帰る。

そしてそんな場所には愛おしいものが必ずある。

安藤さんの美しいほどカッコイイ白い器が入口だった。


多治見のギャルリ百草に伺ったときにあまりの完璧さに圧倒された。

展覧会だから、とか 催事だから とか 誰かが来るから、とかじゃなく

日常の完璧さを”ギャルリ百草”と名づけている場所で見せているだけ。

だから、もし うちに来てくれたら恥ずかしいな。。と思っていた。


なのに、今日「こんにちは。^^」と、玄関で挨拶している。

まるで、お顔の化粧しているまだ下地クリームの時、チャイムを押された感じの。





お子さんたちと明子さん、そして安藤氏が海の匂いを充分させて

小野町の店内に礼儀正しく入ってこられました。


なんでも丁寧にご覧になる安藤さんに

「あんまり見ないでください」と背後で言いそうになるのを押さえるのに

喉がカラカラになりました。

お食事を終えられた明子さんはやはり布ものに興味を示され、

お二人とも帽子がお好きな様子で、少女みたいに帽子の試着をされる

奥様を目を細めながら横で待っているご主人。

いい景色だな~と、また私は背後で見守っていたの。


安藤さんの作品はこんな日常から生まれるのですね。



初めての和歌山はいかがでしたでしょうか。




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