25.03.2020
うつわの記憶
服部竜也さんのうつわたちは
手に取る前に数メートル間隔を置いて眺めたくなります
なんだかこちらが居住まいを正したくなる気分になるのです
本人は全くもってそんなつもりはなく作っているのかもしれませんが
なんだか一呼吸眺めてから触れてしまいます
でも
一度使ってみたら指先の持っていく位置とか
掌にあたる部分とか唇の感触とかが記憶に残ってしまいます
それくらい一度選んだものは忘れられなくなります
陶器によっては音が聞こえたりお喋りが絶え間なく聞こえてきたりする感じがありますが
服部さんのそれはただただ、息遣いと繊細な指の動きが感じ取れる気がします
陶芸展をさせていただくたびに
土からのエネルギーを届けてもらい目の前でその人の今ある表現を披露させてもらいます
作り手ではないギャラリストが作り手とどこまで息を合わせられるか。。
これでいいんだろうか、ではなくてきっとこうなんだろう、というまで
展覧会当日まで生まれたてのうつわたちを待つことになります
「はじめまして!」の素晴らしい緊張感に苦しみ、楽しみながら。