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17.11.2017 

同じものを見て何を形にするか

A4350384-51DA-49E9-9852-F1313A2EB405 白洲千代子さんとの出会いは 6年ほど前だったような気がします。 東京の出版社の編集部の裕子さんに正式に紹介していただきました。 ホテルのロビーで裕子さんとふたりで白洲さんを待っていたとき 今までの作家さんとの対面よりずっと緊張していました。 誰の紹介とか、どんなに賞をえているとか 素晴らしく年齢を重ねているとか、どんな血筋だとか 配偶者が大資産家だとか、、ハタマタ 無茶苦茶オトコマエだとかは あんまり緊張はしないたちで、逆に面白がってしまうから気軽になります。 でも、 そのときは、何だろう。。 なんだかわたしの空想を超えた思考をもちあわせたひとみたいで ほんというと、、怖かった。 各作家さんの各ジャンルのことについて 薄っぺらい知識しか持ち合わせていないのに どんどん興味を持ちぐいぐいそのものに攻めよっていくときの快感! 結局、モノの作り手に入り込んでいく緊張感が好きでこの仕事を続けている その”未知の”彼女に一日でどれだけ入り込めるのだろう。。。 不安はいっぱいになる。 そして ヒョ~~~っていう感じで ややうつむき加減にラウンジに入ってきた千代子さん。 それから自己紹介や飲み物の注文や裕子さんの突破口てき話は 全く記憶にございません ただ 透明すぎる彼女がわたしのほうを真正面から見てくれだして 綺麗な目が子犬みたいにくるくる動き出して わたしの一方的な(悦に入ってしゃべっていたと思う)話に一段落したとき 「裕子さ~ん あなたまた、変わったひと連れて来たわよね~」 と表情とは裏腹の大人の女性の(ずっと私より年上の)つき通る声でわたしは「はっ!」としました。 「わたし、変わってますか?! いたって普通だと!」と反論までして裕子さんを見たら、安心した顔でほほえんで紅茶をのんでいました。 あとから聞くと 「葉子さん、あのね、千代子さんのいう”変わったひと”は”好きになれそうな人”のことよ♡」 と裕子姉さまはおっしゃていました。 それからというもの 何回、白洲千代子展を開催させていただいたことでしょう おまけに去年の夏には 古びた旅館に泊まり一緒にお風呂に入るし、誰もいないことを理由に 真っ裸で泳ぐし、、の二人旅までさせていただきました。 女子同士のこころを持っているので、残念ながらそれ以上の関係には至りませんでしたけど。 それいらい、 ひとつのものを見ても 大体、同じようなことを考えていることに気づきます。 でも、 彼女は作り手でわたしはそれを”手渡す”ギャラリスト、というふたりの職業的立場。 51C10E33-40B2-4F58-AF77-267DF0AAD6CE 蒼い海に泳ぐゾウ。 それをどこで見たのか どんなふうにこころの中で温めてきたのか それは個人がどんなふうに表現したいか、で受け取る側の刺さり具合がちがう。 深いものほど 探り当てる側の力量がものを言うし 探り当てたものだけがヒリヒリする快感を味わえる。 白洲さんの表現はほんとに純粋すぎるほど純粋で 水晶みたいに固く透明で、一緒にいればいるほど無限に発見と驚きに溢れている。 それが 白洲千代子さん。 わたしはやはり、先ず人。 先ず、人ありきで 仕事につながっていく。 なかなか、ショウバイニンにはなれないから さささんに注意される。 (注:”さささん” → 税理士さん)