03.10.2013
越えた人って
先日とても緊張する場所に行った。
安藤雅信さんのももぐさに初めて行った時もそうだったが
「隙がない」という緊張感を醸し出している。
これまで生きてきたうちの礼儀とか拙い知識とかを
脳みそから早く抽出しようと久しぶりにあせったくらい。
「どうぞ~」とさりげない柔らかな声。
入って居間の中心に笑顔の出迎え、とそして
お床には裏山の野生の草花たちがコロコロと気持ちよさそうに揺れている。
御簾の向こうの風通しのよい和室にほっと目をやるとき、
ようやく深呼吸ができた。
やっぱり床の間の花たちが揺れているので
「素敵ですね」と言った。それしか言えなかった。
「いや~、お花なんか流儀もなにも・・習ったことなんてないんだよ」と。
そうしているうちに美味しいお茶が目の前に出されているし
台所ではお昼ご飯の用意までしてくれている様子がうかがえる。
「何にもないんだけどね、まあ、大したことないけどお昼でも食べていってください」
・・
「おもてなし」って簡単ではない。
人を思うこと、そのひとの笑顔をひきだすことは簡単ではない。
越えた大きな懐のひとにしかできないと思う。
それは年齢とか国境とか星とかには全然関係ないと思う。