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20.07.2011 

木片

 


「世界一周」の巻、というタイトルの展示を見たことを思い出した。

イギリスのロジャー・アークリングという芸術家が、潮岬で作った作品の

”木片”から始まる。


彼は海岸に漂着した木片にレンズで平行に焦げ目をつけていき

日光を浴びて育った木から誰かが作った木片がやがて捨てられて

大海を漂流し、潮岬に流れ着き、日光による刻印を得て、私たちの前にある。

世界一周しているかもしれないこの木片にとって、潮岬はアックリングと出会った

特別な場所なのです。


こんな馴れ初めの木片から始まった展示は最終まで流れるように

時間を忘れて楽しめた。

初めにただ一つの木片で全作品を見せてくれた感じ。

たくさんの作品を見たが

これほど印象には残っていない。



意識的なものの考え方が変わっても、

意識できないものの感じ方は容易には変らない。

自分の感受性の質を変える自由のないのは、

皮膚の色を変える自由がないのとよく似たところがある。


という作家の言葉も同時に読み返したりして。



       
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